ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「うーん……。なんか眠気がどっかいっちゃった。ハクシャク、大丈夫かなあ……。ドラゴンって、パねえ強さなんでしょ? だって伝説のドラゴンってハクシャク言ってたじゃん」
「確かに、この地方に伝わる伝承があります。なんでも、初代の聖女様がドラゴンを封印したのだとかなんとか」

 「聖女」という単語を聞き、エミの目線がさまよう。エミの動揺に気づいたメアリーは、慌てて言葉をつないだ。

「大丈夫ですよ! うちの伯爵様はああ見えて優秀な方ですから、エミ様はここで伯爵様のお帰りを待てばよいのです。待つのがお仕事ですよ!」
「でも、あたしは聖女だから……」
「エミ様は確かに聖女様であられますでしょう。でも、私はエミ様に危険な目に遭ってほしくありませんわ。さあさあ、この話はおしまいです! もう寝る時間ですわ。ベッドの準備ができましたよ」

 あまり気乗りのしない様子のエミを、メアリーは無理やりふかふかのベッドに連れていく。

「よく寝られるようにホットミルクはいかがでしょうか? それとも……」
「ねえ、メアちん。ちょっとだけ質問なんだけど……」
「はいはい、なんでしょうか? 私が答えられる質問であれば、よろこんで答えましょう」
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