ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 メアリーはエミの隣に腰かける。エミは少し悩んだあと、おそるおそる口を開いた。

「あたしがもしけっこうヤバめな秘密を隠してたら、ハクシャクってイヤかな? その秘密を知ったら、多分ハクシャクがあたしをキラいになるかも系の秘密……」

 エミはベッドの上で膝を抱え、不安そうに俯いた。

「もちろん、あたし的にはハクシャクに絶対嫌われたくないけど、秘密をバラしちゃったほうがみんなのために良い気がしてて……。どうしよう……、的な……」

 エミの眼に涙が溜まっていく。メアリーは目を見開いた。「秘密」が具体的になにを指すかは分からない。しかし、エミが真剣に思い悩んでいるらしいことくらい容易に察しがつく。

 メアリーはエミのほっそりとした肩をぎゅっと抱く。

「まあまあ、なんていじらしいんでしょう。私も、遠い昔にそのようなことで悩んだことがありましたわ。あの時は、私も純真無垢な乙女でしたねえ……」
「メアちんも、悩んでた?」
「ええ。人は誰しも一つや二つくらい、誰にも知られたくない秘密を持っているものです」
「そういうもんなの?」
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