ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
聖女を心配させたくない思いから、「これくらいの問題、聖女の力を借りずとも何とかする」などと大見得を切ったものの、ドラゴンとの戦いで生きて帰れる保証はない。なんせ相手は百年に一度の災禍であり、伝説のドラゴンなのだから。
見送りに来たセバスチャンが、恭しく頭を下げた。
「お帰りをお待ちしております」
「ああ。留守中は、この地を頼んだぞ」
「……出発の前にエミ様にご挨拶しなくてよろしかったのですか」
「構わん」
ディルはぶっきらぼうに答えた。もしエミが見送りに来ようものなら、このガシュバイフェンを離れ難く思うだろう。
ディルはそんな思いを断ち切るために、エミの見送りを事前に断っておいたのだ。
もちろん、危険な目に遭うと分かっていながら首都に向かいたくはない。叶うなら、仕事なんてせずにガシュバイフェンでエミと一緒にいたいのが本音だ。
しかし、百年に一度の災禍に見舞われているサンクトハノーシュ王国を見捨てるわけにもいかない。これは貴族として生を享けた者の責務である。
見送りに来たセバスチャンが、恭しく頭を下げた。
「お帰りをお待ちしております」
「ああ。留守中は、この地を頼んだぞ」
「……出発の前にエミ様にご挨拶しなくてよろしかったのですか」
「構わん」
ディルはぶっきらぼうに答えた。もしエミが見送りに来ようものなら、このガシュバイフェンを離れ難く思うだろう。
ディルはそんな思いを断ち切るために、エミの見送りを事前に断っておいたのだ。
もちろん、危険な目に遭うと分かっていながら首都に向かいたくはない。叶うなら、仕事なんてせずにガシュバイフェンでエミと一緒にいたいのが本音だ。
しかし、百年に一度の災禍に見舞われているサンクトハノーシュ王国を見捨てるわけにもいかない。これは貴族として生を享けた者の責務である。