ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ディル様、くれぐれも粗相のないようにお願いしますよ」
お節介とわかりつつも、セバスチャンはおどおどしながらディルに声をかけた。ディルはやはり1ページたりとも進まない本から目を離さず、「わかっている」とそっけなく返事をした。
「急に第一王子から『婚約者として聖女を推薦する』と連絡がきた時は驚いたが、こちらにとっても花嫁を下賜されるのは都合がいい。邪険には扱わぬつもりだ」
「都合がいい、というあたりはなかなかに最低な発言ですが、大まかにはその心意気です!」
「……………」
「……オッホン。しかしまあ、おかしな話ですな。聖女エミ様は第一王子の婚約者になると発表されたのはつい最近だった気がするのですが……。それが急に辺境伯であるディル様に嫁げと命令が下り、王都からこんな辺境の土地に送られるなんて……。これではまるで島流しのような扱い……」
迂闊なことを口にしたと気づいたセバスチャンはハッとした顔をして口をつぐんだ。しかし、ディルは特にそれを咎めることをせず、鷹揚に頷いた。
「第一王子の元婚約者がこちらに送られてくる理由は分からない。しかし、どうせくだらない理由だ。王族とは、ことごとくどうしようもない馬鹿ばかりだからな」
お節介とわかりつつも、セバスチャンはおどおどしながらディルに声をかけた。ディルはやはり1ページたりとも進まない本から目を離さず、「わかっている」とそっけなく返事をした。
「急に第一王子から『婚約者として聖女を推薦する』と連絡がきた時は驚いたが、こちらにとっても花嫁を下賜されるのは都合がいい。邪険には扱わぬつもりだ」
「都合がいい、というあたりはなかなかに最低な発言ですが、大まかにはその心意気です!」
「……………」
「……オッホン。しかしまあ、おかしな話ですな。聖女エミ様は第一王子の婚約者になると発表されたのはつい最近だった気がするのですが……。それが急に辺境伯であるディル様に嫁げと命令が下り、王都からこんな辺境の土地に送られるなんて……。これではまるで島流しのような扱い……」
迂闊なことを口にしたと気づいたセバスチャンはハッとした顔をして口をつぐんだ。しかし、ディルは特にそれを咎めることをせず、鷹揚に頷いた。
「第一王子の元婚約者がこちらに送られてくる理由は分からない。しかし、どうせくだらない理由だ。王族とは、ことごとくどうしようもない馬鹿ばかりだからな」