ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「銀の髪に、凍てつく青色の瞳の長身の紳士と、金髪に一風変わったシスター服の乙女……。もっ、もしや、ソーオン伯と、その婚約者の聖女エミ様、では!?」
「うむ、いかにも」

 ディルは一つ咳払いをして頷く。エミも「ちーっす、聖女でーす!」と手を振った。
 衛兵たちは慌てて敬礼をする。

「こ、これは失礼いたしました! まさかこんなに早く来られるとは思っておらず。ご来城された理由は、ドラゴンの件ですか」
「ああ。ガシュバイフェンで伝説のドラゴンが目撃された。おそらく、近いうちに首都を襲撃するだろう」
「はい。こちらの情報と一致します。北の方角からこちらにドラゴンが猛スピードで向かっていると、デルゼ伯領から早馬で報告が」

 衛兵は状況を報告する。曰く、長い眠りから目覚めたドラゴンは、行く先々の農園を襲撃しては家畜たちを片っ端からたいらげ、気まぐれに火を吐きながら森や山を焼きつつ首都へ向かっているのだという。
 話を聞いたエミが、思いっきり顔をしかめた。

「このままだとお腹いっぱいで元気フル充電のドラゴンが首都にきて、ヤバいパティーンじゃん!」
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