ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 ディルは急に現れたエリックを一目見て思わず顔をしかめたものの、エミは気安く片手をあげた。

「あっ、王子じゃん。ちょりーっす! おひさでーす! ちょっとやつれた?」
「お前、相変わらず一国の王子に対する態度とは思えないくらいくだけた態度で接してくるな!? ……まあ良い。俺とお前の仲だから、寛大な心で許してやろう! そんなことより、大変なことになってるんだ。今すぐ来い!」

 エミのもとに歩み寄ってきたエリックは、当たり前のように彼女の手をとり、ディルから引き剥がした。彼はイライラしながらエミをぐいぐい引っ張っていく。

「え、ちょ、あんまり引っ張らないで! 服が伸びちゃう!」
「ガタガタ言ってないで大人しくついてこい! 緊急事態なんだよ! お前の馬鹿力が必要だ。まったく、先のハド共和国との戦争が100年に1度の災禍だと父上は言っていたのに、話が全然違った! 最悪な状況だよ、クソ!」
「エリック王子、その手を離してください」
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