ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「主様、あまりに不敬にございますよ! もし誰かが聞いていたら……」
「フン。いっそ不敬罪で爵位を剥奪してくれれば助かるのだがな。そうすれば、私は日々迫りくる業務とやたらと面倒な慣習とやらに煩わされることはなく、思いっきり自分の研究に専念できる」
ことあるごとに爵位を返還し、引きこもりたいと口にする変わり者の主人を前に、セバスチャンは困った顔をすることしかできなかった。
(まったく、今回はいったいどうなることやら。屋敷で働く者たちも、あまり気が進んでいる様子ではないし……)
主人の婚約者を迎えるにしては、この屋敷の空気はずいぶん寒々しいものだった。
この屋敷の召使いたちの間では、すでに「聖女エミが何日目に婚約破棄したいと言いだすか」という話題で持ちきりだ。国を救った聖女だか何だか知らないが、彼女だってどうせすぐに冷血伯爵に愛想を尽かして出て行ってしまうのだろうと、召使全員が高を括っている。
かわいそうなことに、聖女エミは今のところ誰にも積極的に歓迎されていない。
(いや、せめてこのセバスチャンだけでも、聖女様には誠心誠意お仕えしよう……)
「フン。いっそ不敬罪で爵位を剥奪してくれれば助かるのだがな。そうすれば、私は日々迫りくる業務とやたらと面倒な慣習とやらに煩わされることはなく、思いっきり自分の研究に専念できる」
ことあるごとに爵位を返還し、引きこもりたいと口にする変わり者の主人を前に、セバスチャンは困った顔をすることしかできなかった。
(まったく、今回はいったいどうなることやら。屋敷で働く者たちも、あまり気が進んでいる様子ではないし……)
主人の婚約者を迎えるにしては、この屋敷の空気はずいぶん寒々しいものだった。
この屋敷の召使いたちの間では、すでに「聖女エミが何日目に婚約破棄したいと言いだすか」という話題で持ちきりだ。国を救った聖女だか何だか知らないが、彼女だってどうせすぐに冷血伯爵に愛想を尽かして出て行ってしまうのだろうと、召使全員が高を括っている。
かわいそうなことに、聖女エミは今のところ誰にも積極的に歓迎されていない。
(いや、せめてこのセバスチャンだけでも、聖女様には誠心誠意お仕えしよう……)