ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「……やっぱり、エミたそはこの国を救いに来たの? サンクトハノーシュ王国は、エミたそを都合が良いようにこき使って戦争が終わればあっさり捨てたのよ? なのに、こんな救いようのない国、見捨てたっていいのに……」
二人の聖女は見つめあう。やがて、エミは「あー」と言って一瞬目をさまよわせたあと、胸をトン、と叩いた。
「……そうだよ~~! あたし、最強のギャルだからさ! ちょっと任せてもろて~♡」
エミはニッと微笑んでみせる。天真爛漫で、どこまでも晴れやかな笑みだった。
エミが笑ったのを見たサクラは切なそうに目を伏せ、エリックは少しホッとした顔をした。そして、ディルは――、
「はあ!?」
状況が一切分からず、腹の底から声が出た。ディルのよく響くテノールボイスがエントランスにこだまする。
「……な、なんでお前がこの国を救う流れになってるんだ?」
意味が分からない。ディルの心の中では、この国を救いに来たのは、エミではなくディル自身のはずだった。それなのに、どうしてエミが国を救う流れになっているのか?
ディルは訝しげな目をエミに向けたものの、エミはディルと視線を合わせずに踵を返した。
二人の聖女は見つめあう。やがて、エミは「あー」と言って一瞬目をさまよわせたあと、胸をトン、と叩いた。
「……そうだよ~~! あたし、最強のギャルだからさ! ちょっと任せてもろて~♡」
エミはニッと微笑んでみせる。天真爛漫で、どこまでも晴れやかな笑みだった。
エミが笑ったのを見たサクラは切なそうに目を伏せ、エリックは少しホッとした顔をした。そして、ディルは――、
「はあ!?」
状況が一切分からず、腹の底から声が出た。ディルのよく響くテノールボイスがエントランスにこだまする。
「……な、なんでお前がこの国を救う流れになってるんだ?」
意味が分からない。ディルの心の中では、この国を救いに来たのは、エミではなくディル自身のはずだった。それなのに、どうしてエミが国を救う流れになっているのか?
ディルは訝しげな目をエミに向けたものの、エミはディルと視線を合わせずに踵を返した。