ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「そうと決まれば、さっさとドラゴンのところ行っちゃおー!」
「フン。こっちに来い。城壁であれば、ドラゴンと対峙できるだろう」
「なんでエリックが偉そうに指図してるのよ! アンタはひっこんでなさい!」
状況がいまいちつかめないディルを置いて、三人はズンズン先に行ってしまう。もはや、エミがドラゴンを倒すことは決定事項らしい。
ディルは三人を止めようと手を伸ばす。
「お、おい! どういうこと――、」
「あっ、いたいた……。やっと追いついた……。おや、そこにいるのはソーオン伯じゃないか」
息を切らして現れたのは、第二王子であり、聖女サクラの婚約者であるロイだ。顔には一応おだやかな笑みを浮かべているものの、第一王子と同じ色の前髪が汗で額にはりついている。どうやらロイは走ってサクラを追いかけてきたらしい。
「……これはロイ様、お久しぶりです。お元気そうで何より。私は急いでおりますので、これにて失礼」
ディルは「また面倒なヤツが来た」という表情を一瞬たりとも隠さないまま、慇懃無礼に最低限の挨拶だけ返し、大股で歩き出す。ロイは慌ててディルの背中を追った。
「フン。こっちに来い。城壁であれば、ドラゴンと対峙できるだろう」
「なんでエリックが偉そうに指図してるのよ! アンタはひっこんでなさい!」
状況がいまいちつかめないディルを置いて、三人はズンズン先に行ってしまう。もはや、エミがドラゴンを倒すことは決定事項らしい。
ディルは三人を止めようと手を伸ばす。
「お、おい! どういうこと――、」
「あっ、いたいた……。やっと追いついた……。おや、そこにいるのはソーオン伯じゃないか」
息を切らして現れたのは、第二王子であり、聖女サクラの婚約者であるロイだ。顔には一応おだやかな笑みを浮かべているものの、第一王子と同じ色の前髪が汗で額にはりついている。どうやらロイは走ってサクラを追いかけてきたらしい。
「……これはロイ様、お久しぶりです。お元気そうで何より。私は急いでおりますので、これにて失礼」
ディルは「また面倒なヤツが来た」という表情を一瞬たりとも隠さないまま、慇懃無礼に最低限の挨拶だけ返し、大股で歩き出す。ロイは慌ててディルの背中を追った。