ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「待ってくれ、僕も一緒に行くよ。そう邪険にしないでくれ」
「先ほど申しあげたとおり、私は急いでいるのです。私の婚約者が、これからドラゴンと戦うなどと言っているので」
「まあ、そうだろうね」
「なぜ、当たり前のように頷かれるのです? もしや、この城の皆はドラゴンの出現に自暴自棄にでもなっているのですか? もしも私の婚約者の身になにかあったら、いくら王子相手でも容赦はしませんよ」
最悪な事態を想像したディルの胸の中がカッと灼けるように熱くなる。もしエミがこの世界からいなくなってしまったらと思うと、頭がおかしくなりそうだった。
それに対して、ロイは相変わらず腹の底が分からない笑みを浮かべている。
「おや、君は知らないのか。……そうだね。君は聖女たちの召喚に反対して、先の戦争では一切協力しないと言って領地に引きこもってたもんね。あの時の父上の慌てっぷり、ちょっと面白かったよ。『ついにディルに見捨てられた! この国は終わりだ』って、大騒ぎだったんだから」
「そんなことはどうでもよろしい。私は、婚約者の身に危険が迫っていることを危惧して……」
「先ほど申しあげたとおり、私は急いでいるのです。私の婚約者が、これからドラゴンと戦うなどと言っているので」
「まあ、そうだろうね」
「なぜ、当たり前のように頷かれるのです? もしや、この城の皆はドラゴンの出現に自暴自棄にでもなっているのですか? もしも私の婚約者の身になにかあったら、いくら王子相手でも容赦はしませんよ」
最悪な事態を想像したディルの胸の中がカッと灼けるように熱くなる。もしエミがこの世界からいなくなってしまったらと思うと、頭がおかしくなりそうだった。
それに対して、ロイは相変わらず腹の底が分からない笑みを浮かべている。
「おや、君は知らないのか。……そうだね。君は聖女たちの召喚に反対して、先の戦争では一切協力しないと言って領地に引きこもってたもんね。あの時の父上の慌てっぷり、ちょっと面白かったよ。『ついにディルに見捨てられた! この国は終わりだ』って、大騒ぎだったんだから」
「そんなことはどうでもよろしい。私は、婚約者の身に危険が迫っていることを危惧して……」