ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ディルは流れるように指示を始めた。サンクトハノーシュ王国一の頭脳を持つ彼の指示は適切で無駄がない。彼に指揮権はないものの、誰も異を唱えるものはいなかった。
「引き上げは慎重に行え。ドラゴンの身体には謎が多い。もしかしたらドラゴンの身体に毒が含まれているかもしれないと思って扱うように。なるだけドラゴンの身体に傷をつけぬよう気をつけろ。魔導士を片っ端から集めて、浮遊呪文でも使えば良い」
「は、はい! 第二隊は魔導士の確保にあたります!」
「残りの騎士は街を巡回せよ。混乱に乗じてよからぬことをする不届き者が必ず出てくるからな」
「御意に!」
行動は迅速だった。あっという間に、騎士たちはディルの指示通りに持ち場に散っていく。
ディルは最後の騎士が去っていったのを見送り、嘆息した。
「ここまでやれば、私の力添えがなくともなんとかなるだろう」
「ハクシャク……」
「――ということで、私と私の婚約者はこれにて失敬させてもらう」
ディルはふわりとエミの肩を抱くと、さっさと踵を返してもと来た道を戻りはじめた。別れの挨拶もひどく適当だ。
「引き上げは慎重に行え。ドラゴンの身体には謎が多い。もしかしたらドラゴンの身体に毒が含まれているかもしれないと思って扱うように。なるだけドラゴンの身体に傷をつけぬよう気をつけろ。魔導士を片っ端から集めて、浮遊呪文でも使えば良い」
「は、はい! 第二隊は魔導士の確保にあたります!」
「残りの騎士は街を巡回せよ。混乱に乗じてよからぬことをする不届き者が必ず出てくるからな」
「御意に!」
行動は迅速だった。あっという間に、騎士たちはディルの指示通りに持ち場に散っていく。
ディルは最後の騎士が去っていったのを見送り、嘆息した。
「ここまでやれば、私の力添えがなくともなんとかなるだろう」
「ハクシャク……」
「――ということで、私と私の婚約者はこれにて失敬させてもらう」
ディルはふわりとエミの肩を抱くと、さっさと踵を返してもと来た道を戻りはじめた。別れの挨拶もひどく適当だ。