ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
伯爵、愛す!(1)※
柔らかい何かが腕の中で動いたのを不審に思ったディルは、無理やり重たい瞼をこじ開けた。
まばゆい光に眉をしかめた後、彼は腕の中に目を向け――、
「……ッ!?」
すんでのところで声を出すのをこらえた。
それもそのはず、彼の腕の中では、彼の婚約者がすっぽりとおさまってスヤスヤ寝息を立てていたのだ。あろうことか、彼のたくましい二の腕を枕にして。
状況を鑑みるに、ディルはどうやらエミの話を聞いたあと、疲労がピークに達して眠ってしまったらしい。窓から差し込む夕日で部屋が染まっていることから、時間は夕方だろう。かなり長い間眠りこけてしまったようだ。
エミはディルが寝ている間に湯浴みを済ませたらしく、ゆったりとしたシルクのガウンに着替えていた。金髪が少しだけ濡れている。化粧は、いわゆる「オフった」状態だ。
(湯浴みを済ませたあと、わざわざこの部屋に帰ってきてということか……。まったくこんな姿で、男のベッドに自ら入ってくるとは、無防備にもほどがあるだろう……。飢えた狼の巣に自分から飛び込んでいくようなものだぞ)
まばゆい光に眉をしかめた後、彼は腕の中に目を向け――、
「……ッ!?」
すんでのところで声を出すのをこらえた。
それもそのはず、彼の腕の中では、彼の婚約者がすっぽりとおさまってスヤスヤ寝息を立てていたのだ。あろうことか、彼のたくましい二の腕を枕にして。
状況を鑑みるに、ディルはどうやらエミの話を聞いたあと、疲労がピークに達して眠ってしまったらしい。窓から差し込む夕日で部屋が染まっていることから、時間は夕方だろう。かなり長い間眠りこけてしまったようだ。
エミはディルが寝ている間に湯浴みを済ませたらしく、ゆったりとしたシルクのガウンに着替えていた。金髪が少しだけ濡れている。化粧は、いわゆる「オフった」状態だ。
(湯浴みを済ませたあと、わざわざこの部屋に帰ってきてということか……。まったくこんな姿で、男のベッドに自ら入ってくるとは、無防備にもほどがあるだろう……。飢えた狼の巣に自分から飛び込んでいくようなものだぞ)