ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―

聖女、手を取る!

 ディルがようやくその行為をやめたのは、夜半過ぎ。体力が尽きた二人は、再び抱き合って泥のように眠った。
 そして翌朝――。

「う、うわーっ、ヤバいよヤバいよっ! 身体中、キスマークだらけ!」

 朝日の差し込む部屋の中、ベッドの横にあったシュバルミラーを見たエミが悲鳴を上げた。

「どっ、どうしよう! これどうやってメアちんたちに隠そう……っ!」
「別に隠さずとも良いではないか」

 当のディルは部屋に置いてあった水差しで喉の渇きを潤しながら、満足げにエミを見つめている。婚約者の身体中につけた数多のキスマークは、彼の独占欲を十分に満たすものだった。

「ハクシャクはいいかもしれないけど、あたしが恥ずかしいの! うわっ太ももにも、二の腕にもある~!! コンシーラーで隠れるかなぁ……」
「ここにもあるぞ」

 からかうように首筋のキスマークをなぞってやると、エミは「ひゃあんっ」と情けない声を上げてへにゃりと倒れる。

「は、ハクシャク~」
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