ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ええ、ハクシャクってばめっちゃ高そうなモノいっぱい買ってたけど!? あれで少額ってどーゆーこと!?」

 エミはギョッとした顔をして手をわなわなと震わす。一般的な庶民の金銭感覚しか持ち合わせていないエミは、未だに貴族たちの金銭感覚についていけていない。

「こちらとしては、商売あがったりですが……」

 旅商人は苦笑しながら、重たい荷物を持ち上げて帰り際の挨拶をする。彼は去りざまにディルの横で足を止め、ボソリと彼の耳元で囁いた。

「まあ、今後とも伯爵様とはなにかとお付き合いして参りたい所存でございます。ドレスの横の『青い袋』の中にサービスのお品をつけておりますので、夜にでも未来の奥方様と二人でご確認ください」

 旅商人はグッと親指をあげ「幸運を祈りますぞ」とウインクしながら軽い足取りで屋敷を去っていった。
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