ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ふたりがイチャイチャし始めたその瞬間、屋敷から何やら慌ただしく誰かがやってきた。
「ディル様、伯爵様、いえ、我が主様ぁああ! 一大事です! とんだ一大事です!」
息を切らしてこちらにやってきたのは、執事のセバスチャンだ。手にはなにやら手紙のようなぶ厚い束を抱えている。
せっかくのエミとの時間を邪魔されたディルは、あからさまに不機嫌そうな顔をした。
「……なんだ、国王か」
「その通りでございます! し、至急、王宮に来るようにとお達しが! しかも勅使として宰相様がいらっしゃっておりまして……」
「断れ」
即答だった。
この国の偉大なる王の勅命をこうも無下にできるのは、このサンクトハノーシュ王国中を探しても、ディル・K・ソーオンくらいのものである。
「そ、そんなご無体なぁ……」
困り果てたセバスチャンは、助けを求めるようにエミに視線をやった。エミは苦笑する。
「ハクシャク、あんまりセバスちを困らせちゃダーメ! 王様が呼んでるってことはよっぽど困ってるんだよ。ちょっとだけでも行ってあげたら?」
「どうせあの馬鹿国王のことだ。つまらない用事に決まっている。話を聞く価値もない」
「ディル様、伯爵様、いえ、我が主様ぁああ! 一大事です! とんだ一大事です!」
息を切らしてこちらにやってきたのは、執事のセバスチャンだ。手にはなにやら手紙のようなぶ厚い束を抱えている。
せっかくのエミとの時間を邪魔されたディルは、あからさまに不機嫌そうな顔をした。
「……なんだ、国王か」
「その通りでございます! し、至急、王宮に来るようにとお達しが! しかも勅使として宰相様がいらっしゃっておりまして……」
「断れ」
即答だった。
この国の偉大なる王の勅命をこうも無下にできるのは、このサンクトハノーシュ王国中を探しても、ディル・K・ソーオンくらいのものである。
「そ、そんなご無体なぁ……」
困り果てたセバスチャンは、助けを求めるようにエミに視線をやった。エミは苦笑する。
「ハクシャク、あんまりセバスちを困らせちゃダーメ! 王様が呼んでるってことはよっぽど困ってるんだよ。ちょっとだけでも行ってあげたら?」
「どうせあの馬鹿国王のことだ。つまらない用事に決まっている。話を聞く価値もない」