ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
聖女、錯乱する! (サクラside)
話は少々遡る。
サンクトハノーシュ王国の白亜の城の木々は、鮮やかに色づき始めていた。空は快晴で、爽やかな風が中庭を歩く聖女サクラの漆黒の髪を揺らしている。
「聖女様、ご機嫌麗しゅう! 今日も一段と美しいですな!」
「偉大なる聖女様、万歳! この国に恵みをお与えください!」
王宮の中庭に面する廊下で、すれ違う人々がサクラの顔を見ると恭しく挨拶をする。サクラは穏やかな微笑みを浮かべ、礼をして応えた。その所作は、非の打ち所がないほど完璧だ。
皇太子の婚約者としてふさわしい振る舞いに、すれ違う人々はみな一様に好意的だった。
『異世界から来られたというのに、サクラ様は生まれながらにサンクトハノーシュの貴族として育ったようなお方だ』
『第二王子様もサクラ様のような完璧な婚約者に出会えて幸せだろうなぁ』
『それに、あの人々を癒す力はすばらしい。貴族たちだけではなく平民たちにも分け隔てなく治療を行っているのだから、まさに聖女様だ』
人々は口々にサクラを絶賛する。王宮内での第二王子の婚約者である聖女サクラの人気は、今やうなぎ上りだった。
しかし、それはあくまでサクラの対外的な姿に過ぎない。
サンクトハノーシュ王国の白亜の城の木々は、鮮やかに色づき始めていた。空は快晴で、爽やかな風が中庭を歩く聖女サクラの漆黒の髪を揺らしている。
「聖女様、ご機嫌麗しゅう! 今日も一段と美しいですな!」
「偉大なる聖女様、万歳! この国に恵みをお与えください!」
王宮の中庭に面する廊下で、すれ違う人々がサクラの顔を見ると恭しく挨拶をする。サクラは穏やかな微笑みを浮かべ、礼をして応えた。その所作は、非の打ち所がないほど完璧だ。
皇太子の婚約者としてふさわしい振る舞いに、すれ違う人々はみな一様に好意的だった。
『異世界から来られたというのに、サクラ様は生まれながらにサンクトハノーシュの貴族として育ったようなお方だ』
『第二王子様もサクラ様のような完璧な婚約者に出会えて幸せだろうなぁ』
『それに、あの人々を癒す力はすばらしい。貴族たちだけではなく平民たちにも分け隔てなく治療を行っているのだから、まさに聖女様だ』
人々は口々にサクラを絶賛する。王宮内での第二王子の婚約者である聖女サクラの人気は、今やうなぎ上りだった。
しかし、それはあくまでサクラの対外的な姿に過ぎない。