ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「まったく、エミたそったら全然連絡くれないんだから。まあ、筆不精なのもエミたそらしくて憎めないんだけど――」

 ガシュバイフェンの商人が届けたという高級そうな包みから出てきたのは、ピンク色の羽ペンだった。相手に負担にならない程度の、普段使いできる品だ。センスもいい。
 ロイは感心したようにため息をつく。

「ふぅん、良いプレゼントだ。エミ嬢はああ見えて、すごい気遣いができるタイプだよねえ……、ってあれ? サクラったらどうしたの?」
「な、なによ、これ……!」

 羽ペンを見つめるサクラの形相に、ロイはギョッとした。羽ペンを握りしめるサクラは、わなわなと震えている。

「ど、どうしたの?」
「ねえ、ロイはおかしいと思わないの? エミたそから久しぶりに連絡がきたと思ったら、羽ペンだけ送られてきたのよ!? この意味が分かる?」
「うーん……、ちょっとよく分かんないかな」
「これはきっと、エミたそは手紙も送れないような環境にいるってことよ……! つまり、エミたそはあの冷血伯爵に監禁されてるのッ!!」
「んんん?」
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