ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 まさかの迷推理に、ロイは面食らう。どこをどう解釈すればそうなるのか。全く理解できない。それはもう、さっぱり理解できない。

「どうしてそういう考えになっちゃったかな? そもそも、この類の軽いプレゼントに手紙が入っていなかったとしても、不自然なことではないと思うんだけど。エミ嬢の筆不精は最初からわかってたことだし……」
「それは違うわ! エミたその隠されたメッセージはちゃんと読み解かないとダメじゃない!」

 常識的な指摘をしたロイは、なぜか怒られた。
 サクラは落ち着きなく部屋中を歩き回る。

「あの冷血伯爵、可愛くてラブリーなエミたそを地下牢に監禁の上、あんなことやこんなことをしてるのに違いないわ……ッ! だって、エミたそは可愛いものッ……!! 羽ペンを送ってきたってことは、地下牢に繋がれて籠の中の鳥になってしまったエミたその密やかなメッセージなのよ! 『鳥になって逃げたい』ってことなの! これは絶対間違いない!」
「サクラ、ちょっと落ち着こう! 邪推がすぎるよ! 怪しげな恋愛小説の読みすぎだって! 君はたぶん、ソーオン伯を大いに誤解してるよ。彼は意外と常識人だし、同性の僕から見たら、エミ嬢にかなり惚れてたように見えたけど……」
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