ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「も~~、メアちんもたいがいハクシャクの悪口言うよね~~!」
エミとメイドたちが明るい声で笑った途端、ハクシュン、と誰かの良く響く低音のくしゃみが屋敷のどこかで響き渡った。
◇◆
「――ハクシュン!」
黙々と書き仕事をこなしていたディルが、前触れもなくくしゃみをした。主人の荷物や資料をまとめていたセバスチャンは慌てた顔をする。
「おや、部屋が冷えましたか!? さすがにそろそろ暖炉に火を入れる時期が近付いてきたかと……」
「問題ない。どうせメイドあたりに噂されているのだろう」
手をひらひらとさせたディルは、セバスチャンに書き終えたばかりの資料を渡す。
「いつも仕事に関しては手筈通りに行え。何かあったら手紙で知らせろ。それでは、留守の間は頼んだぞ」
「いってらっしゃいませ。この際ですから、社交シーズンまで首都で過ごされてはいかがですかな?」
「いや、春になる前には戻ってくる。……次の春までには、何としてでも結婚式を執り行っておきたい。第一王子のことも気がかりだ」
一瞬の間の後、セバスチャンは思いっきり目を剥いた。
エミとメイドたちが明るい声で笑った途端、ハクシュン、と誰かの良く響く低音のくしゃみが屋敷のどこかで響き渡った。
◇◆
「――ハクシュン!」
黙々と書き仕事をこなしていたディルが、前触れもなくくしゃみをした。主人の荷物や資料をまとめていたセバスチャンは慌てた顔をする。
「おや、部屋が冷えましたか!? さすがにそろそろ暖炉に火を入れる時期が近付いてきたかと……」
「問題ない。どうせメイドあたりに噂されているのだろう」
手をひらひらとさせたディルは、セバスチャンに書き終えたばかりの資料を渡す。
「いつも仕事に関しては手筈通りに行え。何かあったら手紙で知らせろ。それでは、留守の間は頼んだぞ」
「いってらっしゃいませ。この際ですから、社交シーズンまで首都で過ごされてはいかがですかな?」
「いや、春になる前には戻ってくる。……次の春までには、何としてでも結婚式を執り行っておきたい。第一王子のことも気がかりだ」
一瞬の間の後、セバスチャンは思いっきり目を剥いた。