ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「エミたそが選んでくれた色なら何でも大歓迎♡」
そう言って、サクラはエミの手を引っ張って南棟へ向かう。
「あっ、おい……」
ディルは声をかけたが、エミは話に夢中になって気付かない。追いかけようにも、どこからともなく聖女専属メイドたちが隊列してディルの行く手を阻んだ。
ちらりと一瞬だけ振り向いたサクラとディルの視線が交わった。サクラは切れ長の目を細め、「ふふん」と勝ち誇ったように笑う。ディルの胸に、謎の敗北感が広がった。
サクラは満足げに顎をそらすと、大股で去っていく。
取り残されたディルに、それまで完全に空気と化していたロイが声をかけた。
「ええっと、……遠路はるばるご苦労様だったね、ソーオン伯」
「はるばる首都に来て早々の仕打ちがこれですか?」
「サクラのことは謝るよ。ちょっと君のことをライバル視しすぎているだけだから、なんとか頑張って仲良くしてくれ」
「無茶難題をおっしゃる」
そう言って、サクラはエミの手を引っ張って南棟へ向かう。
「あっ、おい……」
ディルは声をかけたが、エミは話に夢中になって気付かない。追いかけようにも、どこからともなく聖女専属メイドたちが隊列してディルの行く手を阻んだ。
ちらりと一瞬だけ振り向いたサクラとディルの視線が交わった。サクラは切れ長の目を細め、「ふふん」と勝ち誇ったように笑う。ディルの胸に、謎の敗北感が広がった。
サクラは満足げに顎をそらすと、大股で去っていく。
取り残されたディルに、それまで完全に空気と化していたロイが声をかけた。
「ええっと、……遠路はるばるご苦労様だったね、ソーオン伯」
「はるばる首都に来て早々の仕打ちがこれですか?」
「サクラのことは謝るよ。ちょっと君のことをライバル視しすぎているだけだから、なんとか頑張って仲良くしてくれ」
「無茶難題をおっしゃる」