ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
とにもかくにも、ディルも部屋に向かおうとエミに続こうとしたものの、侍従の一人が遠慮がちにそれを遮った。
「ソーオン伯はこちらに」
「なにを言っているのだ。そちらは西棟で、王の居室と寝室しかないだろう。ゲストルームがあるのは南棟だ」
「いえ、国王様は執務室の隣にゲストルームを一室設けられました。ソーオン伯はそこでお過ごしになるようにと、国王陛下が……」
「執務室の隣だと!? 私をこき使う気満々か!」
この白亜の城に来て早々に頭痛がしてきたディルは、足音も荒く西棟に向かった。
西棟は国王の住居スペース兼執務スペースのため、サンクトハノーシュ王国で特別な場所だ。もちろん、基本的に王族しか立ち入りを許されていない。――まあ、王宮勤めをしていたディルは、国王に呼び出されるたびに訪れた場所なので、あまり特別感はない。
城の中央回廊を抜け、豪華絢爛な西棟の2階にディルは通される。
侍従の言う通り、ディルのために立派なゲストルームが準備されていた。よりにもよって、国王の執務室と寝室の間に。
「私は、国王の愛人か……っ!」
わなわな手を震わせ、額に青筋を浮かべるディルに怯えた侍従は、「私はこれで!」と、そそくさと足早に部屋を去っていった。
「ソーオン伯はこちらに」
「なにを言っているのだ。そちらは西棟で、王の居室と寝室しかないだろう。ゲストルームがあるのは南棟だ」
「いえ、国王様は執務室の隣にゲストルームを一室設けられました。ソーオン伯はそこでお過ごしになるようにと、国王陛下が……」
「執務室の隣だと!? 私をこき使う気満々か!」
この白亜の城に来て早々に頭痛がしてきたディルは、足音も荒く西棟に向かった。
西棟は国王の住居スペース兼執務スペースのため、サンクトハノーシュ王国で特別な場所だ。もちろん、基本的に王族しか立ち入りを許されていない。――まあ、王宮勤めをしていたディルは、国王に呼び出されるたびに訪れた場所なので、あまり特別感はない。
城の中央回廊を抜け、豪華絢爛な西棟の2階にディルは通される。
侍従の言う通り、ディルのために立派なゲストルームが準備されていた。よりにもよって、国王の執務室と寝室の間に。
「私は、国王の愛人か……っ!」
わなわな手を震わせ、額に青筋を浮かべるディルに怯えた侍従は、「私はこれで!」と、そそくさと足早に部屋を去っていった。