ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
国家運営に関しては、国王自身は基本的に優秀な臣下に丸投げで、そのせいもあって王宮勤めはサンクトハノーシュで一番の激務である。
「……今回は王宮に出仕したのは特例です。しかし、私は春までには婚約者と領地で結婚式を挙げたいと考えているため、可及的速やかに帰還します」
「なっ……! お前、まさかあの珍奇な聖女と本気で結婚する気なのか!?」
サンドリッヒが目を皿のように丸くする。よほど意外だったのだろう。ディルは鼻を鳴らした。
「今さらなにを。聖女エミを私の婚約者として下賜すると決定したのは、そちらでは」
「儂はお前に、あの聖女を殺せと命じたではないか!」
「あの命令は履行しかねます。私の記憶違いでなければ、危険と判断すれば、という条件付きだったはずですが」
ディルは額に手を当てて、頭を振る。
『聖女エミは、危険につき常に監視すべし。もし危険と判断した場合、すみやかに殺せ』
聖女エミがガシュバイフェンにやってきた際、国王直々の手紙はそう書いてあった。ディルはそれを、国王の戯言として完璧に無視していたのだ。
「……今回は王宮に出仕したのは特例です。しかし、私は春までには婚約者と領地で結婚式を挙げたいと考えているため、可及的速やかに帰還します」
「なっ……! お前、まさかあの珍奇な聖女と本気で結婚する気なのか!?」
サンドリッヒが目を皿のように丸くする。よほど意外だったのだろう。ディルは鼻を鳴らした。
「今さらなにを。聖女エミを私の婚約者として下賜すると決定したのは、そちらでは」
「儂はお前に、あの聖女を殺せと命じたではないか!」
「あの命令は履行しかねます。私の記憶違いでなければ、危険と判断すれば、という条件付きだったはずですが」
ディルは額に手を当てて、頭を振る。
『聖女エミは、危険につき常に監視すべし。もし危険と判断した場合、すみやかに殺せ』
聖女エミがガシュバイフェンにやってきた際、国王直々の手紙はそう書いてあった。ディルはそれを、国王の戯言として完璧に無視していたのだ。