ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 その瞬間、セバスチャンは覚悟した。きっと、聖女は「やっぱり最低」と言葉をつなげるのだろう、と。そして、神経質なディル・K・ソーオンは、婚約者をまたも逃してしまうのだ。こうして、再び「冷血ソーオン伯はやはり結婚できない」と陰で嘲笑われながら、ソーオン家の血筋は途絶え――……。
 一瞬にして走馬灯のようにソーオン家断絶のシナリオがセバスチャンの頭の中を駆け抜けた矢先、エミが発した一言は、予想だにしない言葉だった。

「やりらふぃー!」
 
 エミは、ぎゅっと握った拳をブン、と空に向かって振りかざし、これ以上ないほど嬉しそうに歓声をあげた。エミの顔に浮かんだ笑顔はまるで、とっておきのプレゼントを受け取った子供のような、それはそれは無邪気なものだった。
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