ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 ――というわけで、聖女エミは完全に暇を持て余してしていた。

「四日会えてないだけで、もうすでにハクシャクに会いたいんだけど、忙しいって言われたら会いに行けないよね。無理してほしくないし……」

 エミはため息をついて、再びぼんやりと頬杖をつく。ミガレット神の彫刻の前では、聖女サクラが忙しそうに人々を治療していた。

「はい、終わりましたよ。お大事になさってください」
「ありがとうございます、聖女様!」

 サクラの足元に跪いて、人々は口々に感謝の言葉を述べた。サクラは慈愛に満ち溢れた微笑みを浮かべて頷く。

「これくらい当然です。ミガレット神に与えられたこの力は、この国の皆様のためにありますから。祝福と栄光あれ」
 
 サクラの祝福の言葉を聞いた人々は「なんと神々しい」「これが聖女様だ……」と平伏する。
 異世界転移者である聖女サクラは、こちらの世界に来る際に、「怪我や病気を治す治癒力がほしい」と神に願い、その願いは叶えられた。
 その優れた治癒能力は戦争が終わった今でも大いに役に立っており、週に一度は市街地にある神殿でこうして人々の病気や怪我を癒やしているのだそうだ。
< 240 / 392 >

この作品をシェア

pagetop