ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
『王子の婚約者なんて人気商売だもん。本当はやりたくないけど、やっておいて損はないからさぁ』
行きがけの馬車の中でサクラはそう愚痴っていたものの、人々に囲まれる彼女は案外楽しそうだった。
「えらいなぁ、サクぴは」
エミは人知れずため息をつく。「化粧品が好きなだけ出てくるコスメボックスがほしい」というアホな願いを叶えてもらったせいで、人より魔力を多く与えてもらったらしいエミは、その強大な魔力は人から恐れられてしまう。人々から感謝されるサクラとは雲泥の差である。
「あたしももっと役に立つ能力がほしいって言えばよかったのかなぁ。でもなぁ……ギャルたるもの、チークとつけまとカラコンはマストだし、こっちじゃ絶対手に入らないしぃ」
いまさら考えても仕方ないのだが、エミは真剣に悩んだ。答えは出そうにない。
そうこうしているうちに、人でごった返していた神殿も、人影がばらになっていた。どうやら今日の治療は終わったらしい。
ひと仕事終えたサクラが、エミのもとへ走り寄ってきた。
「お待たせ、エミたそ! 待たせてごめんね」
行きがけの馬車の中でサクラはそう愚痴っていたものの、人々に囲まれる彼女は案外楽しそうだった。
「えらいなぁ、サクぴは」
エミは人知れずため息をつく。「化粧品が好きなだけ出てくるコスメボックスがほしい」というアホな願いを叶えてもらったせいで、人より魔力を多く与えてもらったらしいエミは、その強大な魔力は人から恐れられてしまう。人々から感謝されるサクラとは雲泥の差である。
「あたしももっと役に立つ能力がほしいって言えばよかったのかなぁ。でもなぁ……ギャルたるもの、チークとつけまとカラコンはマストだし、こっちじゃ絶対手に入らないしぃ」
いまさら考えても仕方ないのだが、エミは真剣に悩んだ。答えは出そうにない。
そうこうしているうちに、人でごった返していた神殿も、人影がばらになっていた。どうやら今日の治療は終わったらしい。
ひと仕事終えたサクラが、エミのもとへ走り寄ってきた。
「お待たせ、エミたそ! 待たせてごめんね」