ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「お前とサクラを引きはがすには相当苦労したぞ。あの女、どこに行くにもお前にべったりで、全くスキをみせない。ロイのやつも、俺がお前に会おうとするとなにかと邪魔をしてくるし……。だから、こんな夜にメイドを買収して偽の情報を流し、やっとあの女を王宮から追い出すことに成功した!」
「マ!? じゃあ、さっきサクぴが呼び出されたのは偽の情報だったってこと?」
「その通り! 俺はこの国の王子だ。目的を達成するためならば、多少の嘘はつかねばならない立場にいる。まあ、お前のような凡人には理解しがたいと思うがな」

 そう言って片頬で笑うエリックに、エミは心底困った顔をした。「反応に困るなぁ」と顔に書いてある。そもそも、そこまでしてエリックが必死に会いたがる理由がわからない。

「ええーっと、なんであたしと会いたかったの? なんか悩んでる?」
「悩みがあってもお前になんか言うもんか! 俺は取り引きをしにきただけだ」
「えー、取り引き?」

 きな臭い流れになってきた。エミは及び腰になったものの、エリックはペラペラとしゃべり続ける。
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