ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
伯爵、寝る!
ディルの地を這うような低い声に、先ほどまで威丈高に振る舞っていたエリックがおびえたように二、三歩後じさりした。
エミはエリックの手から開放され、安堵の声を漏らした。そのとたん、全身の力がふわりと抜ける。ふらついたエミを、ディルの手が包み込むようにがっしりとつかんだ。
「ハクシャク、来てくれた……」
「当たり前だ」
短く答えるディルの額には、大量の玉の汗がにじんでいる。ここまで走って来たらしい。
急に現れたディルを威嚇するように、エリックは精一杯肩を怒らせた。
「なんでお前がここにいるっ! 街に出かけていたはずではなかったのか!」
「ロイ王子から連絡をもらったため、駆けつけました。まったくドラゴン討伐後にあれほど警告したのに、まだ懲りていなかったのですか」
「……ええい、うるさい、……うるさいッ! お父様に気に入られているからといって、偉そうに振る舞いやがって! 俺が国王になったあかつきには、お前なんて国外追放してやるんだからなっ!」
エミはエリックの手から開放され、安堵の声を漏らした。そのとたん、全身の力がふわりと抜ける。ふらついたエミを、ディルの手が包み込むようにがっしりとつかんだ。
「ハクシャク、来てくれた……」
「当たり前だ」
短く答えるディルの額には、大量の玉の汗がにじんでいる。ここまで走って来たらしい。
急に現れたディルを威嚇するように、エリックは精一杯肩を怒らせた。
「なんでお前がここにいるっ! 街に出かけていたはずではなかったのか!」
「ロイ王子から連絡をもらったため、駆けつけました。まったくドラゴン討伐後にあれほど警告したのに、まだ懲りていなかったのですか」
「……ええい、うるさい、……うるさいッ! お父様に気に入られているからといって、偉そうに振る舞いやがって! 俺が国王になったあかつきには、お前なんて国外追放してやるんだからなっ!」