ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 刹那、エミの視点が反転した。エミは驚いて目をぱちくりさせる。一拍おいて、どうやらディルにベッドに押し倒されたらしいと気づいた。ワンテンポ遅れてエミはと顔を赤くする。

「あっ、そーゆー我慢……」
「それ以外なにがある」

 エミに覆い被さったディルは短く答えると、頬や鼻先に触れるだけの口づけを落とす。ディルの手が、優しくエミの頬をなでた。宝物をそっと触るような大きな手に、エミは頬を寄せる。
 どちらからともなく唇を重ね、ふたりは角度を変えながら何度もキスをした。エミが口を少しだけ開けると、それを待っていたようにディルの長い舌がぬるりと潜りこんでくる。

「ふあっ……」

 舌の先をなぞられ、水音をたてて吸い上げられる。エミの背中にゾクゾクとした甘やかな電流が走り、無意識に腰がびくりと跳ねた。先ほどまで頬をなでていた手は、いつの間にか背中に回され、エミを捉えて逃がさない。
 ディルの舌は器用にエミの腔内を探り、濡れた音をたてながら内側から揺さぶった。身体の奥から、じわじわとじれったい熱が広がる。
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