ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 アレキセーヌは頬に手を当ててぷりぷりと頬を膨らます。可愛らしい仕草に似合わず、アレキセーヌの目は、好戦的にらんらんと光っていた。さながら、歴戦の傭兵のような目をしている。

「まあ、サクラ様は第二王子の婚約者といえども、しょせん異世界からいらした方ですものね。これしきの非礼は不問にして差し上げましょう」
「招いていないパーティーに押しかけるほうが、よっぽどマナー違反だと思うけど?」
「まあ、噂通り揚げ足取りが上手だこと! 正論ばかりの女はモテませんわよぉ?」
「よ、余計なお世話なんですけど!」
「オホホ、自覚があるようなら、その癖は直したほうがいいんじゃなくて? 王宮で生きていくには、適当に受け流すことも大事ですわよ? ……とまあ、サクラ様とのお話はここまでにしましょう。聖女エミ様!」

 アレキセーヌは、急にサクラの隣に座るエミをキッと睨めつける。

「話は聞きましてよ? エリック様の求愛を、エミ様はすげなく却下されたとか! エリック様ったらすっかり凹んでいてとにかくめんどくさ――、……いえ、なんでもありませんわ。とにかく、この国の第一王子に無礼を働いた自覚はありまして!?」
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