ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 アレキセーヌは高笑いする。パーティー会場がいっせいにざわめいた。数ヶ月前に自分から婚約破棄を申し出たはずの第一王子が、元婚約者に対して「俺の女」呼ばわりをしたのだ。しかも、それを伝えたのが現婚約者のアレキセーヌである。突っこみどころ満載だ。
 エミがなにか答える前に、激高したサクラが先に口を開いた。

「ふざけないでよっ!! エミたそがあの馬鹿王子の女? どの面下げてそんなことが言えるのよ!」
「王族は配偶者を複数持っても問題ありませんわ。現に、歴史上の国王たちも一夫多妻だった例もございますもの」
「だからといって、一方的に婚約者破棄したアイツが、今になってまたエミたそを妾にしたいだなんて、あんまりにも身勝手すぎるでしょ!」

 いまにもアレキセーヌに掴みかからんばかりの勢いで、サクラは詰め寄った。周りの貴族たちも、エミやサクラに同情したような顔をしている。中には、声を潜めてと第一王子やアレキセーヌを批判するものもいた。
 アレキセーヌは完全に孤立無援だったものの、相変わらず艶然と笑っている。この状況下でも一歩も引く気はないらしい。
< 275 / 392 >

この作品をシェア

pagetop