ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「そのギャル語とやらは、お前以外に通じる言語なのか? 汎用性はあるんだろうな」
「いやいやあらゆる学びに損とかないっしょ~~?」
「いきなり、それっぽいこと言う……」
「ギャルも知性でアピる時代がやってきてるかんね? あたし、流行りのビックウェーブに乗りまくりのやりらふぃーだから♡」
「待て。先ほどから繰り返して出てくる『やりらふぃー』とは、いったいどういう意味なんだ? 使用のタイミングの法則がつかめない! もしかして、新手の呪文か?」

 ディルはおもむろに立ち上がると、顎に手を当ててジロジロとエミを見る。見下ろされたエミが「背が高いねえ」と嬉しそうに歓声をあげ、ディルの胸がもう一度ドクンと大きく脈打った。彼はとりあえずそれを無視する。
 自分の胸の中で暴れる感情はなんであれ、まずは相手の情報を引き出すのが先決だと、彼なりの合理的な判断を下したのだ。
 ディルはエミに興味を持ち始めていた。

「うーむ、髪は染めているのか? その頬についてる顔料はなんだ。見たことない色だが……」
「ああ、チーク? ド〇キで千円だったヤツ! 安いなりにわりと使えてヘビロテしてるんだよ~♡」
「鈍器?」
< 28 / 392 >

この作品をシェア

pagetop