ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
空は曇っていて、じきに雨が降りそうだ。さきほどまでパーティーが開かれていた庭園では、メイドたちが慌ただしく片付けをしている。
「あーあ、あたしも夕ご飯までは暇だし、お片付けの手伝いにいっちゃダメかなぁー。やっぱり、部屋に閉じこもってるの苦手なんだよねぇ。――って、んん?」
そのとき、エミはふと見慣れた人影が庭の隅をこそこそと歩いているのに気がついた。銀髪が印象的な背の高い人物だ。
「あれって、ハクシャクじゃん!」
ディルは人目のつかない庭の隅を足早に歩いている。服装はシャツにコートを羽織っただけの、いつもよりラフな格好だ。平民の装いに近い。もしかしたら、平民の変装をしているつもりかもしれない。
ディルは用心深くきょろきょろしながら、警護用の小さな門をくぐって暮れなずむ城下町に消えていく。
『夜にひとりで男が出かける場所といったら、なんとなく想像はつく。おおかた、花街にでかけるか、首都にいるなじみの女にでも会いに行っているんだろう』
「あーあ、あたしも夕ご飯までは暇だし、お片付けの手伝いにいっちゃダメかなぁー。やっぱり、部屋に閉じこもってるの苦手なんだよねぇ。――って、んん?」
そのとき、エミはふと見慣れた人影が庭の隅をこそこそと歩いているのに気がついた。銀髪が印象的な背の高い人物だ。
「あれって、ハクシャクじゃん!」
ディルは人目のつかない庭の隅を足早に歩いている。服装はシャツにコートを羽織っただけの、いつもよりラフな格好だ。平民の装いに近い。もしかしたら、平民の変装をしているつもりかもしれない。
ディルは用心深くきょろきょろしながら、警護用の小さな門をくぐって暮れなずむ城下町に消えていく。
『夜にひとりで男が出かける場所といったら、なんとなく想像はつく。おおかた、花街にでかけるか、首都にいるなじみの女にでも会いに行っているんだろう』