ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
◇◆
黄昏時の城下町は、仕事を終えた人々で賑わっていた。
注意深くフードで顔を隠したエミは、そろそろとディルのあとをつけている。上背のあるディルは、人ごみの中でも目立っている。ディルはなにやら浮き足立っている様子だ。明らかに怪しい格好のエミの尾行に一向に気づかない。
(ど、どこに向かってるんだろ……)
エミはドキドキしながらディルの背中を追いかける。
やがて、ディルが慣れた様子で足を踏み入れたのは、城下町でもひときわきらびやかな通りの、大きな建物だった。看板には飾り文字でヴィンセント宝飾店と書いてある。サクラと一度行ったことがある、アクセサリーを取り扱う店だ。
「えーっ、アクセサリーショップ!? あのハクシャクがぁ!?」
エミは動揺した。どう考えても、見た目より効率を重視するディルが来るような場所ではない。
しかし、店頭に立っていたクラークが慣れた様子でディルを招き入れた。どうやらディルはかなりの常連らしい。
ディルが自分のために宝飾の類いを買うとは思えない。十中八九、アクセサリーを送る相手がいるはずだ。
「やだぁ! やっぱり浮気相手がいるってことなの!? そ、そんなぁ……」
裏路地の物陰に身を潜めたエミは、へなへなとその場にへたり込んだ。ひゅるる、と冬の冷たい風が路地裏に吹く。
黄昏時の城下町は、仕事を終えた人々で賑わっていた。
注意深くフードで顔を隠したエミは、そろそろとディルのあとをつけている。上背のあるディルは、人ごみの中でも目立っている。ディルはなにやら浮き足立っている様子だ。明らかに怪しい格好のエミの尾行に一向に気づかない。
(ど、どこに向かってるんだろ……)
エミはドキドキしながらディルの背中を追いかける。
やがて、ディルが慣れた様子で足を踏み入れたのは、城下町でもひときわきらびやかな通りの、大きな建物だった。看板には飾り文字でヴィンセント宝飾店と書いてある。サクラと一度行ったことがある、アクセサリーを取り扱う店だ。
「えーっ、アクセサリーショップ!? あのハクシャクがぁ!?」
エミは動揺した。どう考えても、見た目より効率を重視するディルが来るような場所ではない。
しかし、店頭に立っていたクラークが慣れた様子でディルを招き入れた。どうやらディルはかなりの常連らしい。
ディルが自分のために宝飾の類いを買うとは思えない。十中八九、アクセサリーを送る相手がいるはずだ。
「やだぁ! やっぱり浮気相手がいるってことなの!? そ、そんなぁ……」
裏路地の物陰に身を潜めたエミは、へなへなとその場にへたり込んだ。ひゅるる、と冬の冷たい風が路地裏に吹く。