ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ギャーッ、マジ雨強すぎ! このままだとアイメイクとか消えちゃうってぇ!」
「気にすべきはそこではない! このペースで雨が降れば、運河が氾濫することになるぞ!」
「えっ、マ!? ヤバいヤバい! それはダメーッ!」
エミは大慌てで片手を振ると、空は元の曇り模様に変わり、雨はあっという間に止んだ。空に見事な虹がかかり、街には平穏が戻ってくる。
エミはほっと息をついた。
「こ、これでよかった、よね……?」
「いや、まだだ! 最悪な事態が起こったらしい。西側でまだ、火の手が上がっている」
ディルが指さした先で、もうもうと不吉な黒煙が上がっていた。場所は、ちょうど雨が降らなかった西の外れだ。憲兵たちも、なにやら慌ててそちらの方向へ向かっている。
ディルの額に汗が伝った。
「まずいな。あの方向は、魔晶石の倉庫がある」
「魔晶石の倉庫……? ええっと、けっこう危ない感じの場所? さっきみたいに、雨降らせて火を消しちゃダメなの?」
「ダメだ。あらゆる要素を吸収してエネルギーに変換するのが魔晶石だ。しかし、炎と水という、反発する要素があわさることで晶核が不安定になり、過剰なエネルギーを生み出し……」
「気にすべきはそこではない! このペースで雨が降れば、運河が氾濫することになるぞ!」
「えっ、マ!? ヤバいヤバい! それはダメーッ!」
エミは大慌てで片手を振ると、空は元の曇り模様に変わり、雨はあっという間に止んだ。空に見事な虹がかかり、街には平穏が戻ってくる。
エミはほっと息をついた。
「こ、これでよかった、よね……?」
「いや、まだだ! 最悪な事態が起こったらしい。西側でまだ、火の手が上がっている」
ディルが指さした先で、もうもうと不吉な黒煙が上がっていた。場所は、ちょうど雨が降らなかった西の外れだ。憲兵たちも、なにやら慌ててそちらの方向へ向かっている。
ディルの額に汗が伝った。
「まずいな。あの方向は、魔晶石の倉庫がある」
「魔晶石の倉庫……? ええっと、けっこう危ない感じの場所? さっきみたいに、雨降らせて火を消しちゃダメなの?」
「ダメだ。あらゆる要素を吸収してエネルギーに変換するのが魔晶石だ。しかし、炎と水という、反発する要素があわさることで晶核が不安定になり、過剰なエネルギーを生み出し……」