ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「最強のギャルにどんと任せてもろて!」

 エミはディルの手を握って軽やかに走りだした。前を走るその華奢な背中が、ディルにはやけに大きく見える。これほどまでに高潔な背中を、見たことがなかった。

 ディル・K・ソーオンは、後に彼の執事にこう語ったという。

「手を握られたあの瞬間、生まれてはじめて『抱かれてもいい……』と思った」、と。
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