ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
伯爵、閃く!
西の外れの地区は、安全な場所に避難しようと逃げ惑う人々でごった返していた。雲は低く、今にも雨が降りそうだ。
緊迫した雰囲気の中、魔晶石の倉庫にほど近い通りで、憲兵が懸命に逃げる人々を誘導していた。
「早く逃げろ! 余計な荷物は置いていけ! 火のついた魔晶石に雨が降れば、この一帯は吹き飛ぶことになる! 早くここから離れるんだ! ――って、おい、そこのふたりッ! そっちは危険だぞ!」
燃える魔晶石の倉庫にまっすぐ向かう金髪をツインテールにした女と、背の高い銀髪の男という、どこか奇妙な印象の二人組を、憲兵は止める。しかし、憲兵の抑止にもかかわらず、ふたりは歩を緩めない。結局、憲兵は奇妙な二人組の背中が揺らめく蜃気楼のなかに消えていくのを見守ることしか出来なかった。
炎に向かって突き進むのは、救国の聖女エミと、王国きっての天才であるディル・K・ソーオン。はた目から見れば、ほとんど自殺行為だ。
赤々と燃える魔晶石の倉庫は、ふたりの目の前まで迫っている。
「おおー、すっごい燃えてんねぇ~!」
緊迫した雰囲気の中、魔晶石の倉庫にほど近い通りで、憲兵が懸命に逃げる人々を誘導していた。
「早く逃げろ! 余計な荷物は置いていけ! 火のついた魔晶石に雨が降れば、この一帯は吹き飛ぶことになる! 早くここから離れるんだ! ――って、おい、そこのふたりッ! そっちは危険だぞ!」
燃える魔晶石の倉庫にまっすぐ向かう金髪をツインテールにした女と、背の高い銀髪の男という、どこか奇妙な印象の二人組を、憲兵は止める。しかし、憲兵の抑止にもかかわらず、ふたりは歩を緩めない。結局、憲兵は奇妙な二人組の背中が揺らめく蜃気楼のなかに消えていくのを見守ることしか出来なかった。
炎に向かって突き進むのは、救国の聖女エミと、王国きっての天才であるディル・K・ソーオン。はた目から見れば、ほとんど自殺行為だ。
赤々と燃える魔晶石の倉庫は、ふたりの目の前まで迫っている。
「おおー、すっごい燃えてんねぇ~!」