ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 エミは身体を弓なりにしてビクビクと大きく痙攣し、脱力する。ディルは慌ててぐったりとしたエミを抱えると、浴槽から出た。

「お、おい、湯あたりをしたのではないか?」
「違うから、大丈夫……」
「すまない、がっついてしまって。ここのところ、ずっとお前を抱きたいと夢想していたのだ。やっと願いが叶うと思うと、どうしても止められなくて……」
「んふふ、ハクシャクってば、やーさし♡」
「こら、犬や猫を撫でるように私の頭を撫でるんじゃない」

 ディルはエミの身体を頭の先からつま先まで丁寧にタオルで拭き、横抱きでベッドに運ぶ。いまだにエミはぼんやりした顔をしていたが、子猫のようにディルの胸に頬を寄せて甘えた。

「ハクシャクみたいな優しい人にプロポーズされるなんて、夢みたい。あたし、こんなに幸せでいいのかなぁ……」
「現状に満足されては困る。これまで以上に、私はお前を幸福にすると誓おう」
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