ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「えっと、ヴィンセント宝飾店のちかくの路地裏だったかな? うっかりぶつかっちゃって、あの人が手帳をおとしてぇ、手帳を拾って返そうとしたら、路地裏の奥で爆発があったから、あの人見失っちゃって、返せなかった……的な」
「ふむ、確かにあのあたりで爆発が起こったと報告が上がっていたな。ちょっと失敬するよ」

 ロイはそう言って手帳を手に取った。その途端、エリックが猛然と立ち上がった。

「お、おい! その手帳を読むのはやめろ! お前の兄としての命令だぞ! それをこっちによこせ!」
「ほう、これはこれは……」
「やめろーッ!!」

 エリックは絶叫したものの、もう遅い。
 ロイは手帳をペラペラとめくったあと、皆に見せるように手帳を広げてみせた。

「……このページには爆破物の調達ルート、次のページには爆破物の設置場所までびっしりと記されているね。それから、最後のページには、協力者リストまで。どうやら、この手帳には今回の爆発騒ぎの計画が書いてあるようだ」
「……っ!」
「協力者リストに書き連ねられているのは、エリック兄さんと、その取り巻きの貴族たちの名前だね。これは、いったいどういうこと?」
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