ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「――とまあ、わたくしがお話しできるのは、こんなところですわね。ご質問がある方はいらっしゃるかしら?」
「アレキセーヌ、貴様! 裏切ったな!」

 エリックは顔を真っ赤にして吠えた。アレキセーヌは心外だと言いたげに、大げさに眉を寄せてみせる。

「まあ、裏切りですって? ボルタリア家は、サンクトハノーシュ王国に忠実な家門。正義に背く方々に加担するなどできなくってよ」
「よくもぬけぬけと! お前だって、俺の婚約者として最初からこの計画に協力していたじゃないか。お前ごときがこの俺にこんなまねをして、ただですむと思うなよ!」
「やだ、レディを怒鳴りつけるなんて、……。第一王子様のおっしゃることに、わたくしはずっと反論できなかったんだもの。アレキセーヌ、本当はとっても怖かった……」

 アレキセーヌが白々しく目を潤ませると、屈強な騎士たちがアレキセーヌを守るように立ち塞がった。エリックとその一派が束になって突っこんでいったところで、屈強な騎士たちの鉄壁の守りでアレキセーヌには指一本触れられないだろう。
 なにもできないエリックは、地団駄を踏んでアレキセーヌを精一杯睨みつけた。
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