ギャルは聖女で世界を救う！ ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです！―

「おい、絶対仲良くなるんじゃないぞ！　お前はなんだかんだで本当に仲良くなりそうで怖いんだが……」
「恋バナしたらもうマブダチっしょ？　……あっ、ちょっと待ってて！　おしゃべりしたい人がいるんだ！　ちょっと待っててね！」

　そう言って、エミは帰ろうとする貴族たちの中に飛び込んだ。

「アッちゃ～ん！」

　騎士たちを伴って部屋を出て行こうとするアレキセーヌに、エミは声をかけた。アレキセーヌは、優雅にくるりと振り向く。

「あらエミ様、ごきげんよう。アッちゃんとかいうその珍妙なあだ名には、わたくしまだ慣れませんことよ」
「やーん、慣れてよぉ～！　けっこうきゃわたんなあだ名でしょ？」
「貴女ったら妙にフレンドリーすぎるんじゃなくって？　多少警戒心を持っていないと、この王宮ではうまくやっていけませんわよ」
「や～ん、心配してくれてるの？　あざまる～♡」
「そういうことじゃなくって……。ああもう、貴女といると本当に調子が狂うわ」