ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 困ったように微笑むアレキセーヌと不思議そうな顔をするエミの間に、貴族たちの人並みをかきわけ、遅れてやってきたサクラが割ってはいってきた。よほど急いだのか、息を切らしている。

「ちょっとアレキセーヌ! またエミたそに変なこと吹きこんでいるんじゃないでしょうね!?」

 警戒心をあらわにするサクラにアレキセーヌは妖艶に微笑んだ。これまでのように瞳に敵意はない。
 サクラは息を整えるように軽く息を吐くと、腕を組む。

「……それはともかく、まだお礼を言ってなかったわよね。今回の事件については感謝してるわ。アンタの忠告のおかげで、すぐに街中に衛兵たちを配備できたもの。街への被害は最小限で済んだわ」

 アレキセーヌの忠告から、ロイとサクラはすぐに街を巡回する衛兵の数を増やした。エリックの不審な動きは事前に把握していたため、ふたりの行動は迅速かつ的確そのもので、結果的に街の人々の被害はほとんどない。
 サクラの一言に、アレキセーヌは高笑いした。
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