ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
聖女、帰る!
「エミたそ、お願い! 行かないで!」
サンクトハノーシュ王国に舞い降りた聖女のうちの一人、サクラの悲痛な声が、白亜の城にこだました。
うららかな春の日差しが豪奢なステンドガラスから降り注ぐ。ディル・K・ソーオンと聖女エミが国王の命令で首都に来てから、すでに三ヶ月。ディルはついに国王の押しつけた仕事を完遂し、自らの領土であるガシュバイフェンに戻ろうとしている。もちろん、正式に婚約者となったエミも一緒だ。
しかし転移魔法でガシュバイフェンに移動しようとするエミを、サクラががっちり掴んで離さないため、ディルとエミは足止めを食らっている状態だ。
「お願い、エミたそ。ガシュバイフェンって寒いんでしょ? もうちょっとこっちにいてくれたっていいじゃない。せめて夏まで……、ううん、一生ここにいてくれたって……」
「もーサクぴ、泣いたら化粧取れるよ~。 アイメイクに涙は大敵だからねぇ。あ、でもサクぴってアイライン使わない派だ! あたしってば、ギャルメイク基準にしちゃってるからさ、人が泣いてるとアイラインのことつい心配しちゃうんだよねえ。涙でにじんだアイラインって、なにげ超しみるからさぁ」
サンクトハノーシュ王国に舞い降りた聖女のうちの一人、サクラの悲痛な声が、白亜の城にこだました。
うららかな春の日差しが豪奢なステンドガラスから降り注ぐ。ディル・K・ソーオンと聖女エミが国王の命令で首都に来てから、すでに三ヶ月。ディルはついに国王の押しつけた仕事を完遂し、自らの領土であるガシュバイフェンに戻ろうとしている。もちろん、正式に婚約者となったエミも一緒だ。
しかし転移魔法でガシュバイフェンに移動しようとするエミを、サクラががっちり掴んで離さないため、ディルとエミは足止めを食らっている状態だ。
「お願い、エミたそ。ガシュバイフェンって寒いんでしょ? もうちょっとこっちにいてくれたっていいじゃない。せめて夏まで……、ううん、一生ここにいてくれたって……」
「もーサクぴ、泣いたら化粧取れるよ~。 アイメイクに涙は大敵だからねぇ。あ、でもサクぴってアイライン使わない派だ! あたしってば、ギャルメイク基準にしちゃってるからさ、人が泣いてるとアイラインのことつい心配しちゃうんだよねえ。涙でにじんだアイラインって、なにげ超しみるからさぁ」