ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ディルは信じられない気持ちでガシガシと頭を掻く。彼は、エミが危険な人物だと言われてもにわかには信じられなかった。
先ほど触れたエミの手はあまりに小さく、無力に見えた。明るい笑顔と夜のような輝く瞳を見れば、邪な思いを胸に抱いている人物だとはとても思えない。長い睫毛とド派手な化粧、サイドテールに結われた金色の髪。ディルの眼から見れば奇怪な格好をしているように見えるが、彼女は異世界から来たのだし、多少の文化の違いなら許容の範囲内だと思っている。
(いや、しかし、あの短いスカートからは太ももがチラチラ見えるのは多少けしからんと思わないこともない。他の男があれを見たらどうするん――……)
そこまで考えて、ディルは低く唸って思考を遮った。まったく、どこを見ているのだ。
とにもかくにも、エミをこの屋敷に迎えたことで、なにやら面倒なことになったことは確かだ。
殺すと脅されたり、殺せと命令されたり、意味が分からない。あまりに物騒すぎる。
しかし、国王が聖女エミを「危険」と言う理由もひっかかる。
先ほど触れたエミの手はあまりに小さく、無力に見えた。明るい笑顔と夜のような輝く瞳を見れば、邪な思いを胸に抱いている人物だとはとても思えない。長い睫毛とド派手な化粧、サイドテールに結われた金色の髪。ディルの眼から見れば奇怪な格好をしているように見えるが、彼女は異世界から来たのだし、多少の文化の違いなら許容の範囲内だと思っている。
(いや、しかし、あの短いスカートからは太ももがチラチラ見えるのは多少けしからんと思わないこともない。他の男があれを見たらどうするん――……)
そこまで考えて、ディルは低く唸って思考を遮った。まったく、どこを見ているのだ。
とにもかくにも、エミをこの屋敷に迎えたことで、なにやら面倒なことになったことは確かだ。
殺すと脅されたり、殺せと命令されたり、意味が分からない。あまりに物騒すぎる。
しかし、国王が聖女エミを「危険」と言う理由もひっかかる。