ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
蜃気楼のように空気が揺らめくなか、エミはふいにくしゃっと顔をゆがませた。エミが泣きそうになっているのかと勘違いしたディルは、慌ててエミの顔を覗きこむ。
「やはり首都を去るのはさみしいのか? 私がお前を独占したいばかりに、ガシュバイフェンに早く帰ろうと急いでしまった自覚はあるのだ。しかし、お前が嫌だったら……」
「やーん、ガシュバイフェンに帰れるのはめっちゃ嬉しいよ! ただね、ちょっと色々考えちゃった」
エミは一瞬言葉を句切って逡巡したあと、呟くような小さな声で言った。
「私がガシュバイフェンに初めて行ったときのこと思い出したら、なんか夢みたいだなって思ったの」
ガシュバイフェンに初めて飛んだとき、見送ったのはサクラとロイ、それから最低限の召使いたちだけだった。持っていたのも、トランク一つとメイクボックスのみ。
そんな聖女エミは、いまやたくさんの人に見送られ、ガシュバイフェンに発とうとしているのだ。足下には、大量の荷物と贈り物、それからガシュバイフェンで待っている従者たちへの土産の山。
「やはり首都を去るのはさみしいのか? 私がお前を独占したいばかりに、ガシュバイフェンに早く帰ろうと急いでしまった自覚はあるのだ。しかし、お前が嫌だったら……」
「やーん、ガシュバイフェンに帰れるのはめっちゃ嬉しいよ! ただね、ちょっと色々考えちゃった」
エミは一瞬言葉を句切って逡巡したあと、呟くような小さな声で言った。
「私がガシュバイフェンに初めて行ったときのこと思い出したら、なんか夢みたいだなって思ったの」
ガシュバイフェンに初めて飛んだとき、見送ったのはサクラとロイ、それから最低限の召使いたちだけだった。持っていたのも、トランク一つとメイクボックスのみ。
そんな聖女エミは、いまやたくさんの人に見送られ、ガシュバイフェンに発とうとしているのだ。足下には、大量の荷物と贈り物、それからガシュバイフェンで待っている従者たちへの土産の山。