ギャルは聖女で世界を救う！ ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです！―

「ああ、なんて素晴らしいニュースなのでしょう！　おめでとうございます。さっそく、今日からは聖女様じゃなくて若奥様と呼ばなくてはいけませんね」
「やだー！　若奥様ってなんか照れるんですけどぉ♡」
「まあまあ、なんて可愛らしい反応をされるのかしら。でも、この呼び方に早く慣れていただかないといけませんわよ」

　マリーは微笑むと、パンパンと手を叩いた。

「さあさあ、お前たち！　領主様と若奥様が帰ってきたのよ！　大荷物を片付けたら、今夜のディナーの用意を。今日はめでたい日なのだから、豪華なものにしなければいけません。のんびりしている時間はないわ」

　メアリーの号令で、召使いたちは大量の土産と荷物を持って散り散りに自分の持ち場に戻っていく。
　長旅から帰ってきたばかりのディルとエミは、とりあえずいつもの書斎に通された。暖炉には赤々と火が燃えている。冬の間も召使いたちがよく管理してくれていたらしく、書斎には相変わらず塵一つない。
　エミは真っ先にいつものソファーに腰掛けると、ふかふかのクッションを抱いて、大きく伸びをした。