ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「うーん、この感じ、マジでサイコー! やっぱりこのお屋敷が一番落ち着くねえ。我が家って感じ。チルいわぁ」

 王宮でも不自由のない生活をしていたエミだったが、それでも若干気を張っていたらしい。やはり、心の底からリラックスできるのはガシュバイフェンのこの屋敷なのだ。
 それはディルも同じらしく、王宮にいたときより眉間の皺が若干ましになっていた。
 長旅で疲れているだろうディルとエミのために、カモミールティーを淹れたセバスチャンは、上機嫌で訊ねた。

「それで、プロポーズはいかがでしたかな?」
「万事滞りなかった。ちゃんとお前の助言通り、ドキドキするシチュエーションとやらでプロポーズできたぞ」
「な、なんと! このセバスチャンが不在であってもなお、ディル様がそのようなプロポーズができたのですか!? 素晴らしいことにございます!」

 大げさなほどの拍手をするセバスチャンに、ディルは心外そうな顔をする。

「そこまで心配していたのか? このディル・K・ソーオン、プロポーズごときを失敗するようなヘマはしない」
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