ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 驚いて眼をしばたかせたエミの無防備な唇に、まだ酔いの残る熱っぽい唇が触れる。
 肉厚な舌が、エミの柔らかな唇をこじ開け、腔内を蹂躙していく。エミもおずおずと舌を絡めると、ディルは口の端で少し笑い、きつくその舌を吸いあげた。
 深い口づけを交わしながら、ディルはエミに覆いかぶさる。

「はぁ、あっ……、んぁ……」

 強い刺激に耐えられなくなったエミが先に顔をそらして唇を離す。いまやエミのガウンは乱れ、細い肩や太ももがあらわになっていた。
 ディルはくつくつと低く笑いながら、人差し指の背でエミの頬を撫でた。

「どうした? お前も顔が赤いようだが」
「……ハクシャクのせいだもん」
「まったく、その反応といい、仕草といい、どこまでお前は可愛いのだ。首都にいるあいだ、お前の魅力に他の男たちが気づきはじめたことに、私はかなり嫉妬していたんだぞ。お前が国王や他の男たちと楽しそうに喋っているのを見るたびに、なんだかこう、ムカムカしてしかたなかった」
「ええっ、そーだったの!?」
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