ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「当たり前だろう。ガシュバイフェンに帰れば、お前を独り占めすることができるだろうと、私は日々必死で大量の仕事をこなした。私は思ったより、独占欲が強い男だったらしい」

 まだ少し酔いがまわっているらしいディルは、いつもより素直で饒舌だった。いつものポーカーフェイスもいくぶんか柔和になっている。
 エミはディルを包みこむように優しくそっと抱きしめた。

「ふふ、今日のハクシャクは酔っ払いさんで素直だね。きゃわぴくて最高~」
「別に、そこまで酔ってはいない。少しふわふわする程度だ。心拍数が上昇しているが、これはお前が側にいるからだろう」
「私もいつもドキドキしてるよ?」
「端から見ても分からんな。本当かどうか、確かめさせてくれ」

 そう言いながら、ディルの手がエミの心臓のあたりを探りはじめる。

「ああ、本当だ。ドキドキしているな……」
「あっ、……んっ……」
「それに、ここも興奮しているようだ」
「……あ」
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