ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
面倒くさいことになった、と思わずにはいられないものの、不思議と不快ではなかった。「誰かを守りたい」という思いが胸に芽生えたこと自体、冷血伯爵と呼ばれるディル・K・ソーオンらしくない。
しかし、あの風変りな聖女のことをぼんやり考えていると、冷え切った胸の中が、明かりが灯ったように温かくなる。それは、どこか落ち着かないような、それでいて甘やかで、不思議な感覚だった。
ディルはなるべく聖女エミには笑っていてほしいと願っていた。
「何としてでも守ってやらねばならぬ――……」
「庭ヤバーーーい!! 広すぎて運動会できる広さだよこれぇ!」
ふいに窓の外からこの屋敷らしからぬ明るい歓声が聞こえ、ディルは反射的に立ち上がった。エミの声だ。いつも閉じられているカーテンを開けると、予想通り聖女エミと案内役のセバスチャンが広い庭を散策しているのが見えた。
二人はすっかり打ち解けた様子で、なにやら話している。セバスチャンがなにか冗談を言ったのか、エミが軽やかに笑う。その笑顔を見たディルの胸が再びきゅんとなったため、彼は不思議そうに胸の当たりをさすった。
(先ほどから、なんなんだ、これは……)
ディルは得体の知れないフワフワした気持ちに一人首を傾げつつ、すっかり温くなった紅茶を飲みながら、飽きることなく庭を散策するエミを見つめ続けた。
しかし、あの風変りな聖女のことをぼんやり考えていると、冷え切った胸の中が、明かりが灯ったように温かくなる。それは、どこか落ち着かないような、それでいて甘やかで、不思議な感覚だった。
ディルはなるべく聖女エミには笑っていてほしいと願っていた。
「何としてでも守ってやらねばならぬ――……」
「庭ヤバーーーい!! 広すぎて運動会できる広さだよこれぇ!」
ふいに窓の外からこの屋敷らしからぬ明るい歓声が聞こえ、ディルは反射的に立ち上がった。エミの声だ。いつも閉じられているカーテンを開けると、予想通り聖女エミと案内役のセバスチャンが広い庭を散策しているのが見えた。
二人はすっかり打ち解けた様子で、なにやら話している。セバスチャンがなにか冗談を言ったのか、エミが軽やかに笑う。その笑顔を見たディルの胸が再びきゅんとなったため、彼は不思議そうに胸の当たりをさすった。
(先ほどから、なんなんだ、これは……)
ディルは得体の知れないフワフワした気持ちに一人首を傾げつつ、すっかり温くなった紅茶を飲みながら、飽きることなく庭を散策するエミを見つめ続けた。