ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
番外編 伯爵、風邪をひく!
ディルとエミのプロポーズも無事に終了し、ガシュバイフェンに暖かな南風が吹きはじめた、とある春先の朝のこと。広い屋敷に「ハクシュン」という、重低音のくしゃみが響き渡った。
「か、風邪をひいてしまった……」
寝室の広いベッドの上で仰向けになったディルは、ぽつりと呟いた。見事な鼻声である。
(くそ、昨晩うっすら寒気がした段階ですぐに眠りにつくべきだった。念のためエミとは別々の部屋で寝たが、昔の論文を読みふけってうっかり夜更かししたばかりに、このような情けないことに……)
あれやこれやと後悔してももう遅い。幸いなことに、そこまで症状は悪くない。早めに休めば一日で回復するだろう。
ずきずきと痛む頭を抑えながら、ディルはセバスチャンを呼ぶべく上半身を起こす。
「おい、セバス――」
「おっはよーん☆ なかなか起きないから起こしに来たよぉ」
軽やかなノックとともに部屋に入ってきたのは、ディルの婚約者であるエミだった。どうやら、朝食になかなか現れないディルを心配して寝室にきたらしい。
エミはディルの顔をみて、小首をかしげる。
「はにゃ? ディルってば顔色悪くない?」
「か、風邪をひいてしまった……」
寝室の広いベッドの上で仰向けになったディルは、ぽつりと呟いた。見事な鼻声である。
(くそ、昨晩うっすら寒気がした段階ですぐに眠りにつくべきだった。念のためエミとは別々の部屋で寝たが、昔の論文を読みふけってうっかり夜更かししたばかりに、このような情けないことに……)
あれやこれやと後悔してももう遅い。幸いなことに、そこまで症状は悪くない。早めに休めば一日で回復するだろう。
ずきずきと痛む頭を抑えながら、ディルはセバスチャンを呼ぶべく上半身を起こす。
「おい、セバス――」
「おっはよーん☆ なかなか起きないから起こしに来たよぉ」
軽やかなノックとともに部屋に入ってきたのは、ディルの婚約者であるエミだった。どうやら、朝食になかなか現れないディルを心配して寝室にきたらしい。
エミはディルの顔をみて、小首をかしげる。
「はにゃ? ディルってば顔色悪くない?」